【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「(漢字そぞろ歩き) 鞦韆」から

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2026.3.7 日本経済新聞の記事「(漢字そぞろ歩き) 鞦韆」から

難しい字を使う稀有な例

コラムの著者 阿辻 哲次氏(漢字学者)が取り上げた漢字は「鞦韆(しゅうせん)」である。難しい漢語だが、日本語のブランコのことである。興味深いのは、今の中国は、繁雑から簡略に、つまり複雑な形から簡単な形への変化は漢字簡略化の大前提であるが、このブランコは逆に簡略から繁雑になった稀有な例である点であるという。

◯俳句でブランコは春の季語

阿辻氏によれば、前漢・武帝の時代にはブランコは「秋千」と書かれていたと言う。10代で帝位についた若き武帝の後宮には皇后の他にも何人にも側室がおり、それは華やかであったという。その様子にブランコ、秋千の話が関わってくる。この時、王族の娯楽が当時「秋千」と呼ばれていたブランコを揺らすことであったという。秋千は「千秋」(1千回の秋)と同義で、長寿を祈る言葉である。だが、遊具「秋千」にのる女性は後宮関係者であったため、怪我でもしたら大変と、安全のために動物の皮で紐を作った。そこでこの娯楽を表す漢字を「革」と「秋千」と同じ発音の文字を組み合わせて、「鞦韆(しゅうせん)」と書くようになったという。

他にも「鞦韆」が出てくる著名な詩がある;

これは宋の詩人蘇軾(そしょく)(東坡(とうば))「春夜」の一節で、詩全体は次の通りである。

春宵一刻値千金
花に清香(せいこう)有り月に陰有り
歌管(かかん)の楼台 声寂寂(せきせき)
鞦韆院落(しゅうせんいんらく) 夜沈沈(ちんちん)

春の宵はまことに素晴らしく、花は香り月はおぼろ。さっきまでにぎやかだった高殿も静かになり、庭にはブランコが下がって、夜は静かに更けていく。

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