2026.7.25 日本経済新聞の記事「(漢字そぞろ歩き) 東坡肉と茘枝」から
詩人と妃が愛した美味佳肴
コラムの著者 阿辻 哲次(漢字学者) 氏は中国の歴史に関連して有名人の名前をつけた料理について質問を受けたことから調べてみたという。幾人かは候補に上がるが、食指が動かされるほどではないが、東坡肉(トンポーロー)と茘枝(れいし、「ライチ」は広東語の読み方)について語っている。
◯北宋の詩人、蘇軾(そしょく)と傾国の美女、楊貴妃の逸話
阿辻氏が挙げた北宋の詩人、蘇軾は政敵にはめられ流刑となるが、持ち前の楽観的で自由闊達な気風を発揮し、家の東にある坂道(坡)の荒地を見事に開墾したという。その生活は晴耕雨読で、この開墾から東の坂道、東坡と号した。蘇軾は、皮付きの豚バラ肉を醤油や紹興酒などで煮込んだ料理を考案した。それが後に杭州の名物料理になる「東坡肉」であるという。
後に蘇軾は1089年に罪を許され、杭州の知事になった。そこには風光明媚な西湖があるが、近くの銭塘江(せんとうこう)から流れ込んだ土砂が湖底に堆積し、何度も洪水を起こしていた。蘇軾は洪水対策として西湖の湖底を浚渫工事し、そこから出た泥を使って全長約3キロメートルの堤防を築いた。西湖の名勝「蘇堤」である。堤防のおかげで洪水対策ができ、ささやかな礼として豚肉と紹興酒を住民は蘇軾に送ったという。蘇軾知事は得意の「東坡肉」を作って住民に振る舞ったという。
もう1人は、中国の大帝国である唐の玄宗皇帝妃、楊貴妃である。絶世の美女は、料理や食材の話に頻繁に登場するという。料理ではないが、阿辻氏は、楊貴妃が好んだという茘枝(れいし、「ライチ」は広東語の読み方)を取り上げている。
玄宗皇帝と楊貴妃が好んだ温泉付きの離宮、華清宮で、詩人杜牧は、次のような詩を詠んでいる;
「一騎の紅塵に妃子笑う、知る人は無し、これ茘枝来れり」(華清宮に早馬が駆けつけるのを見た楊貴妃が「茘枝が届いたのね」とにっこり微笑んだ)
かくてこの詩に由来し、海南省や広東省で栽培される茘枝の早生品種を「妃子笑」と命名されたという。🍳🐖🧑⚕️👦👩🤝👨💡👦👧💰📓🗺️🚢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍🇨🇳
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