2026.8.22 日本経済新聞の記事「(漢字そぞろ歩き) 語呂合わせ:奔放な読み」から
奔放な読み、日本語ならでは
コラムの著者 阿辻 哲次(漢字学者) 氏が注目したのは「語呂合わせ」の逸話である。読者も歴史の年号や電話番号を覚える時、ときにはメッセージに数字の語呂合わせを使って経験はないだろうか。
◯ポケベルのメッセージ交換でさらに進化
阿辻氏によれば、鎌倉幕府の成立年を「いい国(1192)作ろう」と覚えたことがある。これは源頼朝が朝廷から征夷大将軍に任じられた年であるが、近年の研究では征夷大将軍就任をもって幕府成立とした考えは江戸時代に始まるとされ、現代の高等学校の教科書では、源頼朝が軍事を管轄する守護と徴税をおこなう地頭を全国に任命した1185年を鎌倉幕府の成立と考えるのが主流であるという。従って、今の高校生は鎌倉幕府の成立年を「いい箱(1185)作ろう」と覚えるらしい。
語呂合わせの進化が大きくなったのは、阿辻氏によれば「ポケットベル(ポケベル)」の登場があるという。当初は音が鳴る電話着信の「呼び出し機」にすぎなかった。やがて、10桁ほどの数字をポケベルの画面に表示できるようになると、若者がこれをつかって、数字でメッセージを交換し始めた。例えば、おはよう(0840)やご苦労さん(5963) といった初級から、お仕事ファイト(045105110)と読ませる上級まであったという。年号の暗記もポケベルも、日本の数字に何通りもの読み方があるという特性をうまく利用した方法である。
日本語で使う漢数字には音読みと訓読みがあり、算用数字にも10をテン、8をパなど、外国語に由来する読みがある。さらに、0をローマ字のオー(o)、1をアイ(I)や「愛」に結びつけるなど奔放な読替が随所にある。欧米では、ボタン式電話では2から9までのボタンに複数のアルファベットが配当され、そのボタンにある字で単語を作って覚えることがあるという。
中国や日本で算用数字を使うようになったのは近代以降のことで、それまでは漢数字を使っていた。漢数字には「億」や「垓(がい)」などの画数の多いものがあるが、ほとんどは書きやすい漢字である。だが、一、二、三や十に他の数字に書き換えることが簡単だから、改竄を防ぐために、帳簿や小切手、借用書などには漢数字の一種で「大字」と呼ばれた:
- 0:零
- 1:一 ➔ 壱
- 2:二 ➔ 弐
- 3:三 ➔ 参
- 4:四 ➔ 肆
- 5:五 ➔ 伍
- 6:六 ➔ 陸
- 7:七 ➔ 漆 (または 質、七)
- 8:八 ➔ 捌
- 9:九 ➔ 玖
- 10:十 ➔ 拾
- 100:百 ➔ 佰
- 1,000:千 ➔ 仟
- 10,000:万 ➔ 萬
である。現代の中国では、キャッシュレス全盛で最先端だが、それ以前は、「大字」を使って紙のやり取り(支払伝票、領収書など発行、処理)で商品の売買をすすめていたのでかなりの時間と労力が必要だったようである。📃💴🧑⚕️👦👩🤝👨💡👦👧💰📓🗺️🚢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍🇨🇳🇯🇵
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