2026.3.9 日本経済新聞の記事「『教育立国』の行方、人材育成まず『立志』を」から
高大貫く改革始動、進路観どう変える
コラムの著者 中丸 亮夫氏(日本経済新聞社 編集委員)によれば、2040年を睨んだ日本の人材政策の一環で、全都道府県を巻き込む高等学校の改革が教育全体の見直しとともに始動したという。時代の変化を踏まえ、これまでとは異なる「教育立国」の姿を描くことが課題であると言う。
◯「高校教育改革に関する基本方針(グランドデザイン)」は注目する数値目標がある
中丸氏によれば今年2月に文部科学省がまとめた同グランドデザインには、注目に値する数値目標があるという;
目標年を2040年として、
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現在の文系・理系が5対3の普通科の生徒比を5対5にする
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工業、農業といった職業学科を見直し、少子化の中でも生徒数を維持して高校生全体に占める割合を現在の2割から3割に引き上げる
といった数値目標である。さらに財源についても、2025年度補正予算で設けた約3000億円の基金から各都道府県に約60億円を分配し、改革の先導校を設置する。基金が順調に消化されれば2027年度予算で交付金を設け、先導校を軸により幅広い高校を支援する計画である。施設整備では総務省と連携し、異例の地方債券発行も可能とした。
この計画に推進力が出てきたのは文部科学省ではなく経済産業省が出した将来の人材需給のギャップへの対策である。2040年には経済産業省によれば工業高校卒の91万人、大卒・院卒の理系人材が124万人不足する一方、文系は76万人余ると言う算定がある。これにAIによる労働力代替も起きる。
視点をさらに引いて教育体系全体を俯瞰すると、文部科学省は学生数の多い私立大学セクターで文系学部の理系への転換を促しているという。大学は入学から修士号取得まで5年一貫の直通コースを整備し、人材育成の水準を上げていく。小中学校では学習指導要領というカリキュラムの基準の改訂を推し進めるという。
このような日本の行政では大きなマンパワー政策を始めようとしているにも関わらず、社会一般の関心が低いという。普通科や文系の間口を狭め、大学入学後のゴールを学士から修士に移す転換に、保護者や中高生の意識は追従できているかは疑問である。また、中高の進路指導の先生方は明確な助言ができるかも見えていない。
基本方針では、「高校ととにかく普通科」や「有名大学の文系に行けば生涯安泰」といった保護者や学校関係者の意識を変える必要があると言うが、新しい進路観を育む具体策は見えていない。また、根本的に同グランドデザインで、「現在の状況に至った経緯」についてこれまでの教育体系の歴史を分析、検証するところがないところにも問題があると言う。
大学改革のグランドデザインは2018年に中央教育審議会が答申した。残念ながら高校のそれは中央教育審議会の議を経ていない。私立高校の無償化を前に、公立高校の浮揚策を打ち出す必要があったために急拵えの印象が拭えないという。教育体系の俯瞰で見れば、社会人のリスキリング(学び直し)についても、良作不能な現代では若年代だけで対応するには無理で、その都度職業能力の開発をしていく必要があるだろう。職業資格の重要性やマイクロクリデンシャル(特定の知識や技能の習得証明)の普及・活用の議論も必要だろう。
明治期以降戦後の経済成長期も人材の育成によって産業を高度化し、国力を高め変化を乗り越えてきた日本は紛れもなく「教育立国」である。これ自身は変えるべきではないと中丸氏は思っている。だが、社会は成熟し、多様な生き方、社会との関わり方を尊重する時代にふさわしい姿に描きなおす必要があろう。🏫🏃♀️✏️💬🧑⚕️👦👩🤝👨💡👦👧💰📓🗺️🚢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍🇯🇵
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