【ヒット商品のネタ出しの会】 日本経済新聞の記事「(漢字そぞろ歩き) 羊羹」から

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2026.8.29  日本経済新聞の記事「(漢字そぞろ歩き) 羊羹」から

戦乱を招いた食い物の恨み

コラムの著者 阿辻 哲次(漢字学者) 氏が注目したのは日中の「羊羹」の逸話である。

◯「羊羹」は菓子ではなく、羊肉を煮込んだスープ

阿辻氏によれば、古代中国で登場する「羊羹」の逸話で有名なものが、中国戦国時代の白狄という民族が立てた「中山国」の話があるという。

中山国の王が家来を集めて宴会を開いたが、用意された「羊羹」が司馬子期という人物だけ、なぜか配らなかったという。何かの手違いであったのであろうが、これを司馬子期は侮辱されたと思い、腹いせとして長江流域の大国であった「楚」に出向いて、中山国を攻撃するよう進言したと言う。まさに「食べ物の恨みは恐ろしい」を地でいく話である。

さらに興味深いことにこの話には後日談があるという。司馬子期の話に乗って楚が中山国を攻め入った時、ずっと中山王の近くで身を挺して守備につく2人の兵士がいた。王がその兵士たちの名を尋ねると、2人の兵士はその場に畏って「私どもの父は王から賜った1壺の食物で餓死を免れました。父がそのことを臨終に際して私どもに話し、必ず御恩に報いよと申しました」と王に告げた。王は空を仰いで嘆息し、

「吾(われ)一杯の羊羹をもって国を亡ぜしめ、一壺の餐(さん)をもって士二人を得たり」

と語ったという。話に登場する「羊羹」は主君を裏切るほどのご馳走であったようである。古書には「羊羹」についての詳細はないが、字面から「羊」はヒツジ、「羹」はあつもの、つまりスープである。「羊羹」は菓子ではなく、羊肉を煮込んだスープであるようだ。動物の肉や骨を野菜とともに煮るとコラーゲンが溶け出し、冷えるとゼラチン状の煮こごりになる。これが禅宗とともに日本にも伝わり、肉食禁止の習慣から小豆などを使った精進料理に改変された。それにさまざまな工夫と調理法、技術開発によって、日本でお馴染みの洗練された菓子「羊羹」が生まれた。

日本では、羊羹が大好物であった夏目漱石が小説「草枕」に羊羹を登場させていると言う。司馬子期ではないが、漱石が何かの会合で参加者に配布された羊羹が配られなかったら、どんな振る舞いをしたかと阿辻氏は冗談を述べている。🐏🍲🍵🧑‍⚕️👦👩🤝👨💡👦👧💰📓🗺️🚢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍🇨🇳🇯🇵

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