2026.7.26 日本経済新聞の記事「『安全性高い』次世代原子炉」から
29年度に実証試験、水素製造
コラムの著者 塙 和也氏(日本経済新聞社 社会保障グループ専門エディター)が取り上げているのは、炉心溶融(メルトダウン)が起きないとされる国産の次世代原子炉が2029年度にも水素製造の実証実験を始めることを取り上げている。この新型原子炉が化石燃料に頼らず安全な新エネルギーとなるかを検証してみる。
○出力の低さと使用済み核燃料の処分は課題
| 高温ガス原子炉と従来の軽水型原子炉の相違 | ||
|---|---|---|
| 高温ガス原子炉 | 軽水型原子炉 | |
| 出力(電気概算) | 〜30万キロワット時 | 100万キロワット時超が主流 |
| 原子炉出口温度 | 850〜950℃ | 約300℃ |
| 冷却材料 | ヘリウムガス | 軽水 |
| 減速材料 | 黒鉛 | 軽水 |
| 主な用途 | 熱利用(水素製造、暖房、発電) | 発電 |
塙氏によれば、この新型原子炉の研究炉は、正式名称「高温工学試験研究炉(HTTR)」と呼ばれ、日本原子力研究開発機構 大洗原子力工学研究所の約1.6平方キロメートルの敷地に関連施設があるという。100万キロワット時の出力がある商用原子力発電炉に比べ、この研究炉の熱出力は3万キロワット時と小さいが安全性は高いと、同機構の担当者は言っている。
2011年の東京電力福島第1原子力発電所事故では、冷却ができなくなりメルトダウンした。一方、高温ガス炉に使う黒鉛は温度が上がりにくい性質を持ち、熱の伝導率が高く、熱を外部に逃しやすい。冷却設備が停止しても炉心の温度が上がり過ぎないように設計されている。このためメルトダウンは起こりにくいとされている。
冷却材料のヘリウムガスは不活性ガスで化学的に安定で、水を冷却に使う軽水型原子炉のように水素・水蒸気爆発が発生するリスクを回避している。実際、同機構は2024年3月にこの高温ガス炉で冷却ができない事故を想定した安全性実験を行い、実証した。出力100%の状態から原子炉を冷やすヘリウムガスの循環を停止した。核分裂反応を抑制する「制御棒」も挿入しなかったが、出力は数分で大幅に下がり、自然冷却で停止できることを確認している。
HTTRは1998年に初めて臨界に達したが、福島の事故後に停止した。その後導入された厳しい規制基準が研究炉にも適用され、2021年にようやく再稼働に漕ぎ着けた。一方、脱炭素という追い風で開発支援が日本政府によって進められている。稼働時に温暖化ガスの排出がない原子力を使えば、将来的に水素の製造から消費まで排出をほぼゼロにできるという。高温ガス炉の開発の主目的は直接的な発電よりも脱炭素で不可欠とされる水素の製造である。
研究炉の次の段階は実験炉であり、約20万キロワット時に出力を上げる。日本政府は2026年度に628億円の開発費用を計上している。さらに2030年後半に稼働する目標を掲げている。
世界各国も高温ガス炉の製造を進めている。中国は2024年3月から、米国は米エネルギー企業「Xエナジー」社が、英国では2030年初期の実験炉の運転開始を目指している。商用化は中国が先行しているが、日本も世界レベルを維持しているという。
有望な高温ガス炉であるが、課題もある。まずは、低出力でエネルギー効率が低いことである。対策としては数基の炉を建造することになるが、核燃料を扱うことからリスクが高くなる。また、既存の原子炉と同様に使用済み核燃料の処分問題がある。また、これまでの日本の原子力研究では、優れた技術が実証できても商用化にまでいかない苦い経験がある。電力会社などを巻き込んだエネルギー政策が重要であろうと塙氏は指摘している。💡🧪💥🎓🏢🗻🔥🌳🎓💬📻⚡️🏙️🏗🚚📈🏢⚡️💹📖🖋🔑🏢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍🇯🇵🇺🇸🇨🇳🇬🇧
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