2026.8.15 日本経済新聞の記事「(漢字そぞろ歩き) 竹夫人と湯たんぽ」から
冷たい女性と温かい女性
コラムの著者 阿辻 哲次(漢字学者) 氏がとりあげた漢字の逸話は両者とも就寝時に利用する「竹夫人」と「湯たんぽ」に関するものである。
◯暑い夏の夜や寒い冬の夜に重宝
阿辻氏によれば、「竹夫人」とは竹を円筒状に編んだ長さ1メートルほどの「抱き枕」で、清朝の趙翼という学者が、儒教の経典から民間の俗語まで広く考証した「陔余叢考(がいよそうこう)」巻33に、「竹夫人」が出てくる。竹夫人は中が空洞だから軽く、寝苦しい夏でも竹の冷んやりした感じが心地よいとされた。趙翼の考証では「竹夫人」という呼称は宋朝の詩人蘇軾に始まるという。以後、多くの詩に「竹夫人」が登場している。
中国だけでなく、竹夫人は日本にも伝わっており、江戸時代の俳人で画家でもある与謝蕪村が、
- 天にあらば比翼の籠や竹夫人 (明和8年句稿)
と詠んでいる。比翼は雌雄一体で飛ぶ仲睦まじい鳥で、唐の玄宗皇帝と楊貴妃の悲劇を詠う白居易の「長恨歌」にある、
- 天に在りては願わくは比翼の鳥とならん
を踏まえているという。蕪村自身の寝床を皇帝と貴妃のロマンスに準えるところに、何とはない可笑しみがあると阿辻氏は感想を述べている。夏は寝床の道具が「竹夫人」であるが、冬は湯たんぽである。今は地球にやさしい道具で、売れ続けているという。この湯たんぽも趙翼は蘇軾を引用している。中国では湯たんぽは古くは、「脚婆」という。この「婆」は、日本とは意味が違い、女房に使う。今なら、憤慨されるかもしれないが、老婆は「老」で親密さを表す接頭辞を使い、「年寄り」の意味ではなく、10代でも20代でも奥様は「老婆」であるという。つまり、「脚婆」は湯を入れた「湯婆」を女房がわりに暖をとることを言うそうである。ちなみに、「湯婆」は中国語で「タンポー」と発音することから、湯を日本では組み合わせて湯たんぽと読んだとのことである。♨️🎋📜⛰️🧑⚕️👦👩🤝👨💡👦👧💰📓🗺️🚢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍🇨🇳🇯🇵
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