2026.3.25 日本経済新聞の記事「私見卓見:医薬品、経済安全保障の議論を」から
有事においては国家と経済の多大な影響を与える戦略物資
コラムの著者 鳥居 慎一氏(バーミリオン・セラピューティックス 代表取締役)によれば、日本の経済安全保障の論議に、半導体やエネルギー、食料などは議論されてきたが、十分に議論されてきていない分野が医薬品だという。
◯医薬サプライチェーンが中国・台湾に依存
鳥居氏によれば、医薬品は、有事においては国家と経済の多大な影響を与える戦略物資である。もし台湾有事レベルの地政学的な危機が発生した場合、日本の医薬品サプライチェーンは急速に毀損する可能性が高いと言う。それは、医薬品の現薬、中間体、包装資材などの多くが、中国や台湾に依存しているからだという。
定量的なシミュレーションでは、以下のような予測があるという:
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注射用の抗菌薬やICU(集中治療室)で使用する昇圧剤、麻酔薬:輸入制限や需要の歪みが重なれば、早ければ1〜2週間で深刻な供給不足を招く
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輸液や電解質製剤:数週間
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医療現場の混乱:労働力喪失を招き、日本国内の経済活動全体に波及
といったものである。このような脆弱性が生じている背景に、平時の効率性の優先が挙げられると鳥居氏は指摘している。ジェネリック医薬品の低薬価政策は医療費抑制には一定の成果を挙げたが、日本国内の原薬・注射製剤の製造能力を構造的に弱体化させてしまった。有事に「増産」できる能力そのものが日本国内に残っていない現状がある。
鳥居氏はこのような脆弱な医薬品供給の対策を提案している。必須医薬品を経済安全保障上の中核インフラストラクチャーとして位置付け、国家が供給に対する継続に責任を持つ仕組みを構築しなければならないと提案している。具体的には、ICU薬や注射用抗菌薬、輸液などの必須品目を国家指定とし、備蓄や最低購入保証を組み合わせる。製品単価だけでなく、供給能力そのものに対価を支払う考え方である。
さらに、日本国内の医薬品製造工場を国家指定の製造拠点として維持し、平時は能力維持を支援、有事には増産を求める枠組みが必要であろう。国際協力も重要で、ODAの資金供与から脱却して、ASEANや中東諸国の医療品の相互供給・相互製造を組み込んだ協力関係に転換すべきだと主張している。♿️🩻💊🏥💉🩺💬🧑⚕️👦👩🤝👨💡❤️👦👧💰📓🗺️🚢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍🇯🇵🇨🇳🇹🇼
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