2026.5.22 日本経済新聞の記事「エコノミスト360°視点:中高生のスマホ規制に必要な視点」から
SNS年齢制限についての検証は始まったばかり
コラムの著者 渡辺 安虎氏(東京大学 教授)によれば、2025年12月のオーストラリアで主要SNSにおける16歳未満のアカウント保有を制限する法律が施行されたという。日本の総務省もSNS事業者への規制強化を検討している。このように諸外国や地域で中高生のスマートフォンやSNS利用の規制が広がっている。渡辺教授はその規制の背景にある中高生への影響について論じている。
◯どの生徒の、どのリスクを、どの手段で減らすのかを検証継続する政策が肝要
中高生にとって、スマートフォンは日常欠かせない存在となっている。こども家庭庁の調査では、中学生の84%、高校生の97%がスマートフォンを利用しているという。
スマートフォンの利用は中高生にどのような影響を与えているのだろうか。渡辺教授によれば、すでに中学校、高等学校ではスマートフォン規制についてはいくつかの検証があるという。米スタンフォード大学などの研究者らは、今年4月、全米約4600校の中高校を対象にした大規模な検証結果を発表している。検証は磁気ロック式のスマートフォン収納ケースを導入した時期の違いを利用して、スマートフォン使用が、成績や生徒の幸福度などに及ぼす影響について分析している。
結果は、スマホケースの導入校では授業中のスマホ使用が大きく減少し、生徒の幸福度も、導入1年目は低下するものの、時間が経過すると改善されたという。しかし、学業成績への平均効果は認められなかったという。
これに対して、SNS年齢制限についての検証は始まったばかりだという。社会的な繋がりの手段を一律に禁止することで、規制を潜り抜ける誘因が強く働いていることが、米シカゴ大学の研究者らが一部検証している。SNSは単なる娯楽ではなく、同世代との連絡や所属感に関わるネットワーク効果が大きい。そのため、少数だけが規制に従う状況では、むしろ遵守する側にコストが生じてしまう。
以上は、まだ海外の研究事例だが、日本でもSNS年齢制限を含めた規制を導入するなら、生徒の学業や心身の状態、いじめなどとの関連を調査し、そのデータを継続的に収集・分析できる体制を整備することが重要だと渡辺教授は指摘している。必要なのは、道具であるスマートフォンを遠ざけること自体ではなく、どの生徒の、どのリスクを、どの手段で減らすのかを、検証継続する政策にあると渡辺教授は示唆している。📱💬🧑⚕️👦👩🤝👨💡❤️👦👧💰📓🗺️🚢⚡️🎓👔⏰🔧💻🖥📻🖋🌏💡🔎🌍🇯🇵🇦🇺🇺🇸
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